クールなオオカミの過剰な溺愛
「金出せば千紗をそばにおけるのか?
それなら俺は喜んで…」
「お金で釣ろうとか思わないでよね!」
いくら恋愛感情を知らないとはいえ、お金で解決してほしくない。
「まあ千紗のことだから、一筋縄じゃいかねぇよな」
「……わかってるなら諦めてよ」
「そんな簡単に諦める男に見えるか?」
うん、まったく見えない。
狙った獲物は決して離さないようなタイプにも思える。
「残念だけど、俺は諦めの悪い男みたいだから」
「わ、私だって!」
負けじと言い返すけれど、煌哉は穏やかな笑みを浮かべるだけ。
「……っ、もー嫌!
煌哉なんて大嫌い!」
もうこれで何回目かの“嫌い”を口にした私は、鞄を持って煌哉の後ろをついていった。