クールなオオカミの過剰な溺愛






私は何という単純な人間だろう。

自分でもバカだとわかっているけれど、目の前の誘惑には敵わない。


「うわぁ…!
見て煌哉、このお肉のボリューム!」

「十分伝わってるから」
「本当にいいの…!?」


勉強を始める前はラーメン脳だったのだが、結局お肉にがっつきたくなった私はステーキ屋さんを選んだ。

どうやら煌哉が奢ってくれるようで、迷わずステーキを頼んだ私。


けれどいざ分厚いステーキを前にすると、本当に奢ってもらっていいのかと心配になったのだ。

もしここでダメと言われても困るのだが。
自腹でも目の前の肉を食したいと思うほどだ。


「ああ、千紗が頑張ったから」
「やった…!この恩は必ず返します!」


なんて言いつつ、ステーキを一口サイズに切って口へと運ぶ。

見た目以上に柔らかなそのお肉は、いくらでも食べられそうだ。

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