クールなオオカミの過剰な溺愛
*
私は何という単純な人間だろう。
自分でもバカだとわかっているけれど、目の前の誘惑には敵わない。
「うわぁ…!
見て煌哉、このお肉のボリューム!」
「十分伝わってるから」
「本当にいいの…!?」
勉強を始める前はラーメン脳だったのだが、結局お肉にがっつきたくなった私はステーキ屋さんを選んだ。
どうやら煌哉が奢ってくれるようで、迷わずステーキを頼んだ私。
けれどいざ分厚いステーキを前にすると、本当に奢ってもらっていいのかと心配になったのだ。
もしここでダメと言われても困るのだが。
自腹でも目の前の肉を食したいと思うほどだ。
「ああ、千紗が頑張ったから」
「やった…!この恩は必ず返します!」
なんて言いつつ、ステーキを一口サイズに切って口へと運ぶ。
見た目以上に柔らかなそのお肉は、いくらでも食べられそうだ。