クールなオオカミの過剰な溺愛
「そんな好き好き言っても意味ないよ?」
「それは…どうだろうな」
駅からマンションまでの帰り道。
暗い道に人はあまり見かけられない。
隣を歩く煌哉がそっと私の手を握る。
「……っ、煌哉」
「家に着くまでの間だから…ダメか?」
本人は控えめに言っているつもりかもしれないが、握られた手の力は強い。
離す気がないという意思表示はしっかり示されていた。
「……今日だけだよ?」
なんて、つい私も許してしまう。
こんなのお互いにとって意味がないというのに。
「じゃあ、今日だけ」
「……うん」
お互い見つめ合って、なんとなく今までと違うふたりの関係性に思わず笑みを溢してしまう。
それは私だけでなく煌哉も。