クールなオオカミの過剰な溺愛
咄嗟に彼のほうを見たけれど、今度は私の肩に頭を置かれてしまい表情を確認することができなかった。
「……眠たいの?」
「んー、眠たくないけど心地いいなって」
コロコロ変わる水瀬くんの姿。
どれが本物かなんて考えるのはもうやめた。
「ねぇ、夏原さん」
「何?」
「無能な俺をどうしてみんなは慕ってくれるんだろうね」
またその話。
自分自身を蹴落として、何がしたいのだろう。
励まされるのを待っている?
いや、水瀬くんに限ってそれはない。
だとしたら、ただ黙って水瀬くんの話を聞くのが正解なのかもしれない。
単に吐き出したいだけなのかもしれないのだ。
「好きな子ひとり守れなくてさ、俺のせいで傷つけて。今どうしてるんだろって」
「……っ」
確かに今水瀬くんは“好きな子”って口にした。
彼には想い人がいるようだ。