クールなオオカミの過剰な溺愛
大切な人




梅雨明けが迫り、本格的な夏の暑さがやってきた6月下旬。

確実に外の気温は上がっていく。


「あっつい…!」

この暑さでどう勉強しろというのだ。
冬が好きな私は、夏の暑さに弱い。


教室にはクーラーがついているというのに、それでも暑さに耐えられなくなった私は下敷きをパタパタさせる。


すでにテスト期間に入ったというのに、まったく授業に集中できない私。

このままでは本当にやばいと危機感は抱いているものの、ろくに勉強はできてない。


「……夏原さん、名前に“夏”が入ってるのに暑いの嫌いなの?」

この暑さを恨んでいると、突然前の席である水瀬くんが振り返った。


一瞬ドキリとしてしまう。
そんな彼の耳にはシルバーのピアスが光っていた。

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