クールなオオカミの過剰な溺愛
あの日以来、特に水瀬くんとは何もない。
ただ普段話しかけられる回数が増えたくらいだ。
“美織さん”についても未だに聞けていないし、聞くべきではないだろうと思う。
それでもこのまま放っておいていいのかと気にしてしまう自分がいた。
「夏原さん?」
「あっ…うん、嫌い。
暑いのは大嫌い」
例え名前に“夏”が入っていたとしても、嫌いなものは嫌いである。
「そっか。
見た目も活発で夏が好きそうなのに」
「そんなことないよ。
暑さのせいで全然勉強に集中できてないし」
なんてただの言い訳なのはわかっている。
相手にとったら見苦しい言い訳に思えるだろうけれど。
「じゃあ俺が勉強教えてあげようか?」
「えっ」
水瀬くんが自ら面倒ごとに乗ってきたため、素直に驚いた私。