クールなオオカミの過剰な溺愛



「煌哉、落ち着いて…?
どうしてそんなにも不機嫌なの」

「千紗が俺に構ってくれねぇから」
「はい!余計なことは言わないでね煌哉!」


少し拗ねたように話す煌哉を不覚にもかわいいと思ってしまった。

が、これも作戦のうちかもしれない。
煌哉はわかってこんな表情をしている。


「煌哉ってそんな顔もするんだ」
「あっ、水瀬くんも余計なこと言わないで!」

わざわざ火に油を注ぐようなこと。


「水瀬くんが関わるから煌哉は機嫌損ねるの。
はい、話は終わりね!授業始まるから!」

「えー、俺は何もしてないのに」
「前向いて前!」


あの日以来、水瀬くんに対しては強気の姿勢で話せるようになっていた。

これは立派な成長である。

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