クールなオオカミの過剰な溺愛
もし前のように警戒して避けていたら、向こうが面白がって意地の悪いことをされ続けていたのかもしれない。
水瀬くんも前ほどの冷たさはなくなった。
とはいえふたりきりにはならないよう、注意しているけれど。
「厳しくなっちゃったね、夏原さん」
「水瀬くんは優しくなったね!」
嫌味を込めてそう言えば、クスクス笑って前を向く水瀬くん。
やっとひと息ついた、と思っていたら。
突然後ろから肩を引かれ、無理矢理後ろを振り向かされた。
「わっ、びっくりした…」
「…んで」
「え?」
私を振り向かせた張本人である煌哉は、先ほどよりも不機嫌オーラが全開だった。
「なんで進展してんだよ。
この間は泣いてたくせに」
いつもよりトーンの落ちた低い声は、さすがの私でも少し怖いと思ってしまった。
これは本当に怒っている様子。