クールなオオカミの過剰な溺愛
「別に進展はしてないよ?」
「してる」
「してないってば」
「もう千紗には勉強教えねぇ」
それは困る。
素直に困る。
このまま私の夏休みハッピーライフが終わってしまうだなんて、絶対に嫌だ。
「ね、ねぇ煌哉…」
話しかけても反応なし。
突っついてみても同じだった。
「怒らないでよ」
「…………」
「で、デート!
補習を回避して煌哉とデートしたいのになぁ」
なんとしてでも勉強を教えてもらいたいため、煌哉の興味を引こうとすれば。
すぐさまピクッと反応を示した。
「ほら、煌哉が行きたいところに…」
「千紗に勉強教える」
「……えっ!」
「その代わり、千紗の夏休みは俺がほとんど貰うからな」
何というストレートな条件。
それはもう独り占めしたいということだ。