クールなオオカミの過剰な溺愛



結局その後もちょっかいを出され、プリントを終わらせるのに時間がかかってしまった。


「あーあ、煌哉のせいで遅くなったじゃんか…」
「千紗が宿題をやってこないから悪いんだろ?」


うっ…その通りだけれど。
なにもちょっかいを出さなくてもいいじゃないか。

当の本人はまったく反省していないのだからさらにタチが悪い。



ついには学校でも手を出してきた煌哉を警戒しつつ、靴箱で下履きに履き替えて門を出ようとした時───


「……あれ」

門の前で見慣れない他校の制服を着た女子が視界に入った。


その子は何やら躊躇っている様子で、誰かを待っているようには見えない。


「誰だろう、あの子」
「見ねぇ制服だな」


確かにそうだ。

ここの学校の制服は白いブラウスに青いリボンが目立つ制服なのだが、その子は夏服ようである白生地のセーラーを着ていたのだ。

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