クールなオオカミの過剰な溺愛
「……美織さん?」
「え……」
思わず呟いたのは、水瀬くんが苦しそうに呟いていた“美織”という名前。
もしかして彼女がそうなのだろうかって。
「どうして私の名前を…」
「あ、いや…あの、たまたま私は水瀬真問くんと同じクラスで…!だから…ね、煌哉!」
助け舟を求めると、煌哉は頷いてくれた。
「……っ」
するとどうしてか、突然彼女の瞳から大粒の涙が溢れ落ちていた。
ただ水瀬くんの名前を出しただけだというのに、泣き出してしまう彼女にどう対応していいのかわからなくなる私。
「ご、ごめんなさい…」
戸惑っている私に気づいた彼女は、乱雑に涙を拭う。
「あ、そんな擦ったら赤くなります…!」
そのため慌てて彼女の腕を掴んだ。
けれど初対面の相手に馴れ馴れしく腕を掴むのはどうかと思い、すぐその手を離した。