クールなオオカミの過剰な溺愛
「ちょ、煌哉…ここ電車!」
「千紗が悪い」
「私は悪くないよ」
「千紗ともっと進展してぇ」
「もうだいぶ進展しているかと!」
最初の頃に比べれば一目瞭然だ。
煌哉を男として意識…というか、警戒しているのだ。
「じゃあいつ付き合える?」
「それは気が早いかな…」
「千紗って本当、落ちてくれねぇよな。
攻略難すぎ」
攻略難ってそんなゲームみたいな…まったく私をなんだと思っているのだ。
「煌哉も諦め悪いよね」
「……迷惑?」
「うっ……」
ここは負けじと言い返すと、煌哉に傷ついた顔をされてしまう。
そのためさすがに言いすぎただろうかと思ってしまう自分がいた。
「ほら、冗談だから…」
「じゃあこの手は離さなくていいな」
「あっ、まっ…騙したな!」
「騙されるほうが悪い」
傷ついたフリをしただけの煌哉に騙された私。
結局その手を離してくれることはなかった。