クールなオオカミの過剰な溺愛
苦しさを幸せに
次の日。
私は関係ない身なのに、朝からやけに緊張していて。
「千紗がそこまで緊張する意味あるか?」
「だ、だって…!」
一応水瀬くんと美織さんを会わせるという義務がある。
「ちゃんと水瀬くんと美織さんを会わせないと…!」
「そんな力まなくていいだろ」
手を伸ばした彼は、私の頭にポンと手を置いた。
「絶対にいけるかな」
「大丈夫だろ」
「うん…」
「逆に千紗はなんでそこまで力になろうとするんだ?」
「だって…」
ふたりの表情、声、話を聞いて。
どちらも苦しんでいることが目に見えてわかったから。
「ふたりは会って話さない限り、救われないよ」
「…………」
じっと煌哉を見つめて話せば、彼もまっすぐ見つめ返してきて。
数秒間見つめ合った後、彼は小さな笑みを漏らした。