クールなオオカミの過剰な溺愛
*
午後の授業が終わるまでの間、水瀬くんは少し緊張しているような様子だった。
「千紗」
「は、はい!」
帰りのホームルームで、煌哉に声をかけられた私は振り返った。
「昼休み、大丈夫だったのか?」
「えっ…」
「水瀬のこと」
「あっ、うん…!
ちゃんと会うって決めてくれたよ」
煌哉は水瀬くんのことを嫌っていたようだけれど、なんだかんだで心配している様子。
「そっか」
「あとはふたりが無事に会ってくれれば解決だね」
「……何、まだ俺が逃げ出すんじゃないかって疑ってるの?」
「わっ、水瀬くん…」
どうやら私たちの会話を聞いていたようで、前の席である水瀬くんがこちらを振り返った。