クールなオオカミの過剰な溺愛
「されるがままの夏原さんも悪いと思うけどな。
顔背けることしか頭にないもんね。
この間も簡単に迫られちゃうし」
「……水瀬、それってどういう」
「あー!先生の話始まるよ!
はい!話聞こうね!」
やっぱり性格の悪い水瀬くんめ。
余計なことを言わないでほしい。
この間も上書きだって言って、煌哉にキスされたのだから。
また煌哉が暴走する恐れだってある。
「……千紗」
ほら、低い声。
すごく低い声、怒ってるよこれ絶対。
それでも無視して振り向かないでいたら、煌哉は諦めたように息を吐いた。
「後でちゃんと聞くからな」
「……っ」
けれど煌哉は真相を確かめるまで、諦める気はないらしく。
ただ私は前を向く水瀬くんの背中を睨みつけていた。