クールなオオカミの過剰な溺愛
けれど私は知っている。
先ほどから落ち着かない水瀬くんは、実は緊張しているってことを。
ただ強がっているに違いない。
「でもまあ、感謝してる。
ありがとう夏原さん」
「えっ…」
ふと顔を上げれば、少し照れくさそうにしている水瀬くん。
今まで散々私に意地悪をしてきた分、いざ素直になるのは恥ずかしいようだ。
さわやかな彼は意外とツンデレらしい。
「……へへ、どういたしまして。
ちゃんと美織さんの前でも素直になるんだよ」
「うん、わかってる」
私が笑ったからだろうか。
恥ずかしそうに顔を背けられた。
相変わらずだな、と思いつつも美織さんを待っていたら───
「……あっ」
少し離れた歩道を歩く、セーラー服の女子が見えた。
間違いない、美織さんだ。