クールなオオカミの過剰な溺愛
すると今度は大胆にも私の手を握ってきて。
それも恋人繋ぎ。
「あっ、離しなさい!」
「周りから固めることにした」
「それはずるいんじゃないですか!」
周りから固められたらもう、私には逃げ場がなくなってしまう。
慌てて振り払おうにも、力が強くて敵わない。
「もー、本当に強引だなぁ…」
なんて言いつつ振りほどくことを諦めた私は、チラッと煌哉を見る。
すると彼は真剣な表情で見つめ返してきたから、ドキッとして慌てて目を逸らした。
「千紗」
「……っ、なに」
本当に嫌だ。
狂わされる気がして、決して目を合わせないよう努力する。
目の前にいる危険な男は、いつ迫ってくるのかわからない。