クールなオオカミの過剰な溺愛
「別に大丈夫だけど」
「じゃあ始めよっか!」
煌哉と向き合って座った私は、早速教科書を開いて問題にとりかかる。
とはいえ簡単に解けるはずもなく───
「……これ、何?」
序盤でつまずくバカな自分を恨みたい。
この問題、授業でやったけ?というレベルにわからない。
「千紗って本物のバカだよな」
「うっ…だって」
「話ちゃんと聞いてるのか?」
「……煌哉が教えてくれるからいいかって思いました」
「本当にバカ」
「いたっ」
コツン、と指で軽く頭を突かれてしまう。
痛くなかったけれど反射で『痛い』と言葉にしてしまった。
「どれだけ俺を頼ればいいんだよ。
一応自分の勉強もあるんだけど?」
「うっ…それは、賢いパワーで」
「勉強しないと意味ねぇだろ」
確かにそうだけれど。
煌哉の教え方が一番理解できるのだ、許してほしい。