クールなオオカミの過剰な溺愛
「まっ、え、本当にやば…」
「落ち着け千紗」
「ど、どうしよ…わっ」
急いでベッドから降りようとしたけれど、バランスを崩して足に力が入らなくなった私は転びそうになる。
そのまま煌哉に向かって倒れ込んでしまい───
「……っ」
「……千紗って結構積極的?」
「ち、ちが…!」
いつもは私が迫られている側だけれど、今回は私が迫っているような形になってしまった。
簡単に言えば、私が煌哉を押し倒しているようなシーンが出来上がったのだ。
煌哉は床に背中をついて、私は手をついている。
お互い向き合ってる形で距離は近い。
ただこれは決してわざとではない。
事故であるけれど。
すぐには離れられず、整った彼を視界に捉えながらも固まってしまう私。
寝起きで頭がうまく回らないせいにしようか。