クールなオオカミの過剰な溺愛
過剰な溺愛注意報
それは夏休みに入って間もない頃。
「……んっ…」
なんだか息苦しくなって私は目が覚めた。
外はもうすっかり明るくなっており、これぞ夏の朝である。
「うーん…」
「千紗、いつまで寝てんだよ」
「……へ」
夢かと思った。
聞き慣れた男の声が聞こえてきたことに。
絶対に夢だろうと思い直した私は、また目を閉じようとしたけれど───
「二度寝したら襲うから」
その声にハッと目が覚める。
すると視界いっぱいに映ったのは煌哉のドアップ顔。
私に覆い被さる煌哉に嫌な予感がした。
「な、な、なんで煌哉が…!?
今日は学校じゃないしどうし…」
「ほんっとにひどいよな、千紗。
今日が何の日か忘れたわけ?」
そう言われて数秒間考え込んだあと、煌哉の私服姿を見て思い出した。
「あー!
今日は煌哉とのデート…!」
慌てて起き上がろうとしたけれど、煌哉が覆いかぶさっているためそれができない。
「今はもう11時過ぎたところだけど」
「……え、うそ」
慌てて時計を確認すれば、本当に11時を過ぎていた。
今日の出発予定は10時。
つまり完全なる寝坊に遅刻。