クールなオオカミの過剰な溺愛
「千紗を抱き込まないでよ、私の味方なんだから」
「えー、でも夏原さんが優しいからな」
何を根拠にそう言ったのかはわからないけれど、にこにこ笑う水瀬くんはさわやかで眩しく直視できない。
「優しいって、ただイケメンに弱いだけだよ千紗は」
「なっ…そんなことないよ!」
イケメンに弱いわけではない……と信じたい。
確かに水瀬くんは目の保養だけれど。
ぱっちり二重の大きな目をした彼は、性格も明るくて少年のような人だ。
周りの女子と一線を引いている煌哉とは違い、誰に対してもフレンドリーなのだから加点ポイントである。
「そんなことあるでしょー?
イケメンが大好きなんだから」
「あっ、今さりげなく俺のことイケメンだって褒めた」
「はぁ?何自惚れてんの」
ふたりの会話は漫才のように勢いがあり、聞いていて面白い。
どうやら気が合うようだ。
ふたりはお似合いである。