クールなオオカミの過剰な溺愛
「聞いてよ千紗、私一番前でさ」
「それは最悪だね」
「もー席の運がないなぁ」
落ち込んだ様子で立ち上がった凛花と一緒に黒板へと向かう。
あっ、そういえば。
煌哉はどうだったのだろうか。
パッと煌哉の席を見れば、彼は立ち上がって近くの女子と何やら話していた。
珍しい。
煌哉が女子と話しているだなんて。
しかも煌哉と話している女子は嬉しそうで、少し不審に思いながらも私は黒板に自分の名前を書いた。
「千紗」
そして自分の席へと戻る際、煌哉に話しかけられた私。
「何?」
「俺、千紗の後ろの席になったから」
「えっ…!」
本当かと聞きなおそうとしたが、黒板のある教卓へと歩き出してしまう煌哉。