クールなオオカミの過剰な溺愛
「まあ一番後ろが良かったっていうのもあるけどな」
けれどここにきて煌哉はつれないことを言う。
確かに窓際の一番後ろって特等席である。
「夏原さん、煌哉と前後になれて嬉しそう」
するとその時、私の前の席である水瀬くんが振り向いてきて。
「もちろん嬉しいよ!」
水瀬くんの言葉に対して素直に頷けば、何故だかつまらなさそうな顔をされた。
「水瀬くん?」
「なんか入る隙なさそうだね」
「そんなの当たり前だろ」
私だけが話の意味を理解していないようで、水瀬くんと煌哉が私を挟んで会話を始めた。
それもふたりの間にはあまり良くない空気が流れている。
「ちょ、ねぇ煌哉…」
「千紗はうるせぇから黙ってろ」
「なっ、ひどい!」
黙ってろだなんて、もう少し優しい言い方はなかったのだろうか。