クールなオオカミの過剰な溺愛
「やだな、私が何したっていうの?」
ふたりの喧嘩を促すようなこと、した覚えはない。
「いや、特に何かしたわけじゃないけど…なんていうの?千紗の取り合い?」
「私の取り合い!?」
「バカ、声でかい!」
凛花に怒られたため、慌てて口元を手で覆って周りを見渡す。
幸い、私の声に反応した人はいない。
水瀬くんも煌哉も教室には不在のため救われた。
「ちょ、凛花は何言ってるの…!
取り合いとか」
まるで私が絶世の美女のような存在になってしまうではないか。
決してそんなことありえないというのに。
いや、一度はイケメンに取り合いされてみたいなーとか思うけれど。
「でも千紗って結構評判いいんだよ」
「評判って…?」
好感度が高い、ということで大丈夫なのだろうか。