クールなオオカミの過剰な溺愛
ここはぐっと堪えて首を横に振る。
「いや、別に…続きをどうぞ」
「は?千紗が質問に答えるの。
水瀬に気に入られるようなことした?
1年の時とかでも」
「んー1年の時…」
そんなこと言われたって、1年も同じクラスだった水瀬くんと話したことはあまりない。
だから私自身、今日はやけに話しかけられたことに戸惑っているのだ。
「特に何も思い出せないな。
一度日直で同じになったくらい?」
確か年明けの1月頃だった気がする、水瀬くんと同じ日直になったのは。
その日だけは水瀬くんとたくさん話した記憶もあるような、ないような───
「……あっ」
「ん?」
「水瀬くんの裏を見た気がする」
その日は響ちゃんが生放送番組に出るため、そのことで頭がいっぱいだった私はすっかり忘れていた。