クールなオオカミの過剰な溺愛



「裏って?」
「それがねー、詳しく思い出せないんだ」


上の空だったのかな。
それとも適当に話を聞き流していたのかもしれない。

ただとにかく、にこにこさわやかな彼が笑顔で悪口に近いことを言っていたような…。



「思い出しなよそこ、超重要じゃん」
「……んーっ、響ちゃんが出た生放送番組しか思い出せない!」

「ちょっとこんな時まで響ちゃんが邪魔するの?
最強じゃん、さすが響ちゃん」

「いや本当、その時の響ちゃん珍しく黒染めしてて…」


せっかく思い出そうとしたのに、気づけば響ちゃんの話へと転換していた私たち。

ひと通り盛り上がり、予鈴が鳴ったところでハッとふたりして我に返った。

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