クールなオオカミの過剰な溺愛



そうか、凛花を手に入れるなら手段を選ばないという精神なのか。

一途すぎるゆえのことだ、悪くないだろう。


「……千紗」

でも少し時間をかけすぎだ。
好きならもっと攻めるのもありである。


押しに弱い女子は弱い。
凛花もよく響ちゃんに迫られたいと言っていた。


「千紗、ぼーっとしすぎ」
「へっ…あっ煌哉!ごめん!」

深く考え込んでいたためか、後ろの席である煌哉の声に気づかなかった私。


「じゃあ帰ろっか!」
「……ん」

ようやく反応を示せば、なぜか逆にフイと顔を逸らされてしまった。


「……煌哉?」

気になって名前を呼んでみるけれど、一切反応してくれないどころか先々歩き出してしまう。


特に何かしたわけでもないのに、どうしてか不機嫌の彼。

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