クールなオオカミの過剰な溺愛
とりあえず煌哉を追いかけて隣を歩き、置いていかれないよう彼のシャツを掴んでやる。
シワになってしまえ、と心の中で毒を吐きながら。
「どうだ、これで先に行けないからね!」
「……強引だな」
「機嫌を損ねる煌哉が悪いの!」
私は決して悪いことをしていない。
先手を打ったのは煌哉だ。
「別に不機嫌じゃねぇし」
いや、絶対に不機嫌だ。
心なしか声のトーンも落ちている気がする。
「…やっぱり敵対視してるの?
水瀬くんのこと」
きっと煌哉は今の席が嫌で不機嫌なのだろうと思った。
おそらく間違ってないはず。
なぜなら彼は“水瀬くん”の言葉にピクッと反応を示したからだ。
「場所考えろ」
「場所…あっ」
軽く睨まれた私は、彼の言葉にハッとした。