クールなオオカミの過剰な溺愛
まだここは学校の廊下だ。
周りにも帰る生徒がたくさんいるというのに、今ここで水瀬くんの話をするべきではない。
変な噂に変えられる恐れだってあるのだ。
ただでさえ存在感のある煌哉のことだ、周りの意識が彼に持っていかれているかもしれないし。
「ご、ごめん…黙ります」
「……ああ」
素直に口を閉じ、掴んでいたシャツも離す。
今回は場所を考えなかった私が悪い。
ここは大人しく煌哉の後ろをついていくことにしたが、学校から出た後も彼は黙っていて。
まだ怒っているのだろうか。
けれど歩くペースも私と合わせてくれているため、不機嫌ではないようにも思える。
そんな彼を見て少し安心した私は、何も言わずに静かにすることにした。