クールなオオカミの過剰な溺愛
けれど私は望んでいない。
「今まで通り…って?」
「え…」
「俺はずっと千紗を自分のものにしたいって思ってたのに、これからも今まで通り接することができると思うか?」
「……っ、それは」
だからといって私が煌哉の気持ちを受け入れる?
そんなのお互いにとって良くないのではないか。
「俺さ、あの日に千紗が声かけてくれなかったら、今もまだバカして落ちぶれてたと思う」
“あの日”とはどの日を指すのかくらい、考えなくてもわかる。
あのどしゃ降りの雨の日に、外でずぶ濡れ状態だった煌哉。
「もしかしたら補導だけで済まずに、悪いことして捕まってたかもしれねぇ」
「そんなことない…!
だって煌哉は優しくて」
「あの頃の自分は最低最悪な人間だったから、千紗の想像してる俺とは程遠い」
確かに中学の時から悪い意味で有名だった煌哉。
ただ初めて声をかけたあの日も、彼が怖いとは思わなかった。