クールなオオカミの過剰な溺愛
「最初は俺もこんなずぶ濡れの不良に話しかける変な女だって思った」
「ひ、ひどい…ですね」
「マンションの住民も俺を見なかったフリして素通りしてたからさ、そりゃそうなるよなって」
私はたまたま煌哉と同じ学校で、彼のことを知っていたから余計に見て見ぬ振りをできなかったのかもしれない。
「なのに千紗は本当にお人好し。学校でも不良だって恐れられてんのに、平気で家呼ぶし」
「お母さんがいたからであって…」
「それでも普通はためらうだろ」
ふっと目を細めて笑う煌哉は、もう先ほどのように獣だとは思わない。
落ち着いていて、逆に大人びている。
「でも千紗は迷惑じゃないって、俺を受け入れてくれたんだ。千紗にとったら何気ないひと言だっただろうけど、本気で嬉しくて」
私の頭を撫でていた煌哉の手が、いつのまにか私の頬に添えられていて。