愛することに正解はない【完】
「僕、ちゃんとただいま〜って言ったよ?」
うそ…天の誕生日のことを考えてて全然気づかなかった。
「もうっ、そんな真剣に何考えてたのさー」
スーツの上着をハンガーにかけた天は口を膨らませて、そう言いながら私の腰に腕を回す。
「ひみつだよー」
サプライズでせっかく用意しているんだから、天の誕生日のことを考えてたなんて言えるはずもなくそう言って笑うと
天はなにそれーって面白くなさそうにして
でも、私を抱く腕の力は強まっている。
嗚呼、天のこういう所が可愛くて愛しい。
付き合う前は、天にこんな一面があるだなんて気づきもしなかった。
後ろから抱きつかれていたのを、するりとすり抜ける。