太陽と月

今更ワンワンと泣いたことが恥ずかしく思ってしまった。

男は私の頬に残る涙を拭き取り

『椿、俺の名前は西園 真也だ。戸籍上、これから椿の父親だ。困った事があれば、頼れ。ただどんな時でも最終的な道を決めるのは椿自身だ。』

この男が戸籍上の父親。

今まで家族はママだけだったから不思議な感じがする。


『俺の事は好きに呼べばいい。』


私は悩んだ。

パパ?

お父さん?

でも、血を繋がってなくて冷酷な部分もあるこの男をそんな風に呼ぶには抵抗がある。

『じゃあ…しっ真也さんって呼びます。』


悩んだ結果その呼び方が1番しっくりくる気がした。

真也さんは微笑み 

『好きにしろ。』

何とも言えない空気をまとう人だと思った。

残酷な一面を見せたかと思えば、優しい一面を見せてくる。

そんな風にボンヤリと考えていると

シルバーの眼鏡をかけた男が声をかけて来た。

いつの間に居たんだろうか?

『社長、椿様、そろそろお時間です。』

真也さんはあぁと一言だけ言い車に向かった。
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