太陽と月
私は捨てられた。それは紛れもない真実だ。
「忘れてはいけない。親を恨んでもいい。そう思うのは当然の事だよ。でも、それを理由に誰かを傷つける事は駄目だよ。違うやり方で這い上がってくるんだ」
それだけ言うと、テーブルの上で鳴った携帯に出て仕事であろう話を始めた。
違うやり方で這い上がる。
私は今どこに居るんだろう?
暗くて何も見えない、奈落の底なのだろうか?
そんな事をボンヤリと考えていると
本庄さんが入って来た。
私を見ると
「椿さん、お久しぶりですね。学校には慣れましたか?」そう話かけてくれた。
私は一言二言話すと電話が終わった真也さんが立ち上がる。
「本庄、急遽打ち合わせが入った」
「車は回しています。」
相変わらず忙しいんだなと思った。
「椿、今日は一緒に夕食を食べたかったけど仕事が入った。」そう言って、2人は出て行った。