太陽と月
「うっまーーーー!」オムライスを一口食べた陽介が大きな声を出す。
颯介は何も言わずに淡々と食べている。
「マリ子さん、いつもオムライス激うま!何か特別なもの入れてんの!?」そう口をモグモグさせながらマリ子さんに聞く。
マリ子さんはイタズラっ子の様に
「それは秘密です」と言って私をちらりと見ると小さくウインクをしてくれた。
私も微笑み返した。
食卓はいつも陽介が中心的になって話す事が多かった。
他愛の無い話ばかりだったけど、それは居心地の良い時間だった。
食卓で颯介が口を開く事は無かったけど時折目が合う事があった。
直ぐに逸らされてばかりだったけど、私には颯介との約束があったから気にならなかった。
夕食を終えると、陽介が
「椿!コンビニ行かない?今日発売のアイス買いに行こ!」と笑顔で言われた。
私は頷き、
「そ…颯介も行く?」そう声をかけた。颯介はちらりとこちらを見ただけで何も言わずにリビングから出て行った。
「ったく!あいつは本当愛想ねーな」とブツブツと言った。
「私は大丈夫!行こ!」と笑った。