太陽と月
私の左手首を掴んだのは、リーダーらしき男だった。
「彼氏じゃないんだよね?だったら俺と遊んでよ」そうだらしなく笑った。
「椿に触るな」陽介は私の前に立ち、自分の背中で私を隠してくれた。
「へー彼女じゃない子守る王子様だねー。好きなの?その子が?」と笑う。
それに釣られてか、周りも馬鹿にした様に笑い始めた。
「この子は大切な子です。」何のためらいも無く、答える陽介。
“大切な子”初めてそんな事を言われた気がする。
出会って間もないのに。戸籍上での兄妹なのに。
「かっこいいねー!」そう言って男はポケットからタバコを出し、火をつけて吸い始めた。
陽介は何も言わずにその男の横を通り過ぎようとするも、やはり周りの男の子達に道をはばかれる。
「いやいやー通行料貰ってないからー」と言われる。
陽介は怯むこと無く
「払う必要性はないです」と答えたと同時に1人の男の子が、陽介の胸ぐらを掴み、顔面をパンチした。
一瞬、陽介の体がよろめいたけど、グッと踏ん張り体制を整えた。
「はっ!何こいつ。うっざー」と別の男の子が陽介の左脇腹を狙って蹴りを入れてきたが、防御をしっかりし蹴りを防いだ。
陽介は私の肩を抱くと
「椿行こう」と歩き始めたけど
やっぱり道をはばかれる。
するとリーダーらしき男が、小さく命令をした。
「女を抑えろ」その命令と共に私は2人の男から無理矢理引っ張られた。
「椿!」そう叫ぶ陽介と繋いでいた手が離れた。