太陽と月
連れて行かれたのは、薄暗い駐車場だった。
「はーい。じゃあ通行料頂きまーす!」馬鹿にした様な言い方でリーダーらしき男が陽介の前に手を出す。
「椿には手を出さないって約束しろ」そう強く言った。
「約束してあげる。お姫様には手を出しません」そう言って両手を挙げた。
陽介は黙って、ポケットから財布を出して男にそのまま手渡した。
男はニヤリと笑い財布を受け取り
「離してやれ」と私の両隣に居た子達に命令をした。
私の手は解放された。
陽介が振り向き、私の方に足を踏み出そうとした時
「よ…陽介!後ろ!」と私が言うと同時に陽介の体は沈んだ。
男が陽介の背中を思いっきり蹴ったからだ。
慌てて陽介の元に行く。陽介の肩に触れる。陽介は直ぐに体を起こし、
私の頬を触った。
「泣かなくて大丈夫だよ。家に帰ろ」
陽介の言葉で私は自分が泣いてる事に気付いた。