太陽と月
私泣いてるんだ…。この涙は何?恐怖からくる涙?
「あーやっぱりうぜーわ」と上から怒りに満ちた声がした。
「むかつくんだよねー。王子様みたいにお姫様を守る俺カッコイイとか思ってんの?」男が私達を見下ろしていた。
「お金は渡した筈だ」そうギロっと男を睨む颯介。
「そうだねー。お金は貰ったし訳だから彼女には手を出さないって約束はした。でも…」
男は陽介を無理矢理立たせて胸倉を掴むと力を込めて、顔を殴り
「王子様を殴らないって言う約束はしてないからねー!」と笑った。
私は小さく悲鳴を上げてしまった。
怖い…怖い…逃げたい…そう思った。
陽介は殴られた衝撃で地面に尻もちをついていたが、直ぐに立ち上がり
男達の方を見る事なく、私の手を取った。
「帰ろう。椿」私の手を取り、再び歩き出そうとするも
今度は他の男の子に、背中に蹴りを入れられ体制を崩す。
体制を立て直す間もなく、陽介は次から次へと蹴られては地面に崩れ落ち、胸倉を掴まれては、地面に崩れ落ちた。
私は声を挙げる事も出来ずその場に座り込み呆然とする事しか出来なかった。
ただただ泣く事しか出来ない弱い私。