太陽と月

再び私の方を向くと、顔を両手で覆っていた。


「すげー恥ずかしい…」耳まで真っ赤な陽介が愛おしく思う。


「誰にも言わないよ!」そう言うと指の間からチラっと目を出し


「本当に?」と聞いてくる。


「うん!言わない!」そう私は微笑んだ。














陽介の部屋に初めて入った。
陽介の部屋は想像していた通り物が散乱していた。


床には漫画本やバスケットボール。
脱いだままの服。


壁際にあるラックにはいくつかのトロフィーが飾られていた。


日本武道、バスケットのトロフィーだった。


「たくさんトロフィーあるね」そう聞く私に、


「まーね。」と得意そうに鼻の下を指で擦る。


その横に二つの写真立てが目に入った。


一つは小さな男の子が凄く綺麗な女の人にヒマワリ畑で抱っこされている写真だった。


「…これって…」


「うん。小さい時の俺と母さんだよ」そう教えてくれた。


女の人は綺麗な笑顔でこちらを見ていた。曇り一つない笑顔だった。
幼い頃の陽介も今と変わらない、太陽みたいな笑顔だった。


「綺麗な人だね」そう私が言うと


「だろ?母さんとの記憶は殆ど無いんだけどさ、ここは何となく覚えてるんだ。ヒマワリの花がさ凄くデカく見えて怖かったけど、母さんが大丈夫だよって言ってくれたんだ」そう少し寂しそうに笑った。


「…もう一度会えるといいね。」
陽介との約束…。


“大人になったらママを探しに行こう”


陽介の前だと、その約束は叶えたいし叶うと信じられる気がした。


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