太陽と月
もう一つの写真立てに目をやると、私は息を飲んだ。
そこには今よりも少し若い真也さんと少し幼い陽介と颯介が海を背中に、3人で写っている写真だった。
2人の間に立つ真也さんは、こっちを真っ直ぐみて軽く微笑んでいる。
陽介は両手でピースをして、太陽みたいな笑顔だった。
颯介は…
手を後ろで組みこちらを満面の笑顔で見ていた。
私が何度か見たことのある、冷たい笑顔ではなく、心から笑っている様に感じた。
「…陽介…。この写真はいつの写真?」私が聞くと写真立てを手に取り
「俺達が11歳の時だから4年くらい前かな?」と懐かしそうに微笑んだ。
「3人共凄いいい笑顔しているね」
「確かこの写真撮った時は3人だけで海に行ったんだ。父さんが久しぶりに休み取れてさ。すげー楽しかった。」少しだけ悲しそうな顔で言った。
「そっか…」私は何故か颯介の事を聞く事は出来なかったし、陽介も何も言わなかった。
陽介も気付いてる筈だ。今の颯介からこの笑顔が消えている事を…。