太陽と月

「颯介はさ…前に言ってた殺したい程憎い人は、どうしてそこまで思う様になったの?」


今日は月が綺麗に輝いている。何故かそんな日は、颯介は少しだけ自分の心を見せてくれる様な気がした。


「…聞きたい?」少し低い声で答える颯介。


私には颯介の事を知っていくのは怖かった。知ってしまったら後戻り出来ないじゃないのか…もう奈落の底から這い上がれないんじゃないか…そう思ったけど

「…聞きたい」と答えていた。


「僕はね、その人を始め愛おしくて愛おしくて堪らなかったんだ。傍で見守ってあげたいって思ってた。僕の傍にいて欲しいって。でもね、その人は僕の…」


そこまで言うと、颯介はおもむろに立ち上がり


「今日はここまで。お休み。椿。」とフと笑ってその場から去って行った。


月は少しずつ雲に隠れ、見えなくなっていた。














“愛情と憎悪は、表裏一体”
私は2人の大切な人にその事を教えて貰った-----------。



< 129 / 230 >

この作品をシェア

pagetop