太陽と月
私はこの前、叩いたこともあってか気まずいと思ったけど、進藤先輩はそんな事きにしてないかの様に
「体育祭の準備面倒くさいよねー」と笑いかけてくれた。
「…でも陽介張り切ってるし、私は楽しみにしてます」それは本音だった。
「ふーん。その陽介君は何か階段から落ちちゃって怪我してるんだっけ?」と心なしか意地悪そうな顔付きで聞いてくる。
階段から落ちたなんて嘘だ。本当は弱い私を守る為に怪我したんだから。
「…アレは…」口ごもる私に
「アレは?」
「違うんです。本当は…私が…悪いんです」何故か口からそう出ていた。
進藤先輩は口元を少し上げて
「へー。椿ちゃんが悪いんだ。もしかして椿ちゃんの所為なの?だとしたら陽介君は可哀想だね」と笑った。
この人は分かっていて聞いてきたんだ。分かっていた上で私がどんな反応するか聞いてきた。
「私、最低なんです。私の所為なのに陽介は私を庇ってくれてる。」そう俯いて口をキュッと噛んだ。
「いいんじゃない?だって陽介君がそうしたいって言ったんでしょ?椿ちゃんは悪くないよ」思っていたのは違うんです。反応をされて戸惑ってしまった。
顔を上げると変わらず笑顔の進藤先輩がいた。
「えっ…でも…」戸惑う私に、更に予想外の言葉を進藤先輩は言った。
「この事黙っていてあげるから、俺とデートしてよ!」とニコニコ笑っていた。
デート?進藤先輩と?何で?何の為に?そう頭の中をグルグルと疑問が浮かんだ。
「でも…」
「一目見た時から可愛いなーって思ってたんだ。可愛くて浅はかな椿ちゃんが本当はどんな子か知りたくてさ」と一歩近付いて来た。
私は一歩後ろに下がると、水道場の淵に体が当たる。
それでも進藤先輩は距離を近付いて来てかなりの至近距離になる。
「純平!」一人の声がした。
そこに居たのは颯介だった。