太陽と月

「ふーん。進藤と知り合うなんて奇跡だね」と陽介が言う。


「奇跡…？」私は首を傾げた。


「進藤って殆ど学校に来てないからさ。たまに来ても授業は殆ど出てないよ。来ても屋上に居てるみたいだし。でも試験はいつも学年の上位なんだよなー。だから進藤に会えるなんてレア！」そう言って笑った。


「そうなんだ」と答え、それ以上は何も言えなくなった。


「でも！きっといい奴だよ。俺はあんまり喋った事ないけど、颯介とたまに居るだろ？街で一緒に居るのも見た事あるしさ。颯介の友達なら悪い奴じゃない」


陽介の笑顔に胸が詰まった。
陽介は本当に颯介の事を大事に思って信頼している。


でも、颯介は陽介の事を酷く罵っていた事を考えると、いたたまれない気持ちになった。



「うん。きっとそうだよね！」

こうして、私はまた陽介に一つ嘘を重ねた。
本当は進藤先輩もあっちの世界の人間だと薄々気付いてる癖に、気付かないフリをしている。



「デートの時、進藤に伝えて。たまには学校に来いって。」そう優しく微笑んだ。











私は進藤先輩が出会ったのは偶然だったと、この時は信じていた…。