太陽と月
私と美月のクラスは1-A組なので、陽介の3-Aと並んでチームが組まれている。
私達は白組だ。白のハチマキを頭には巻かずに美月と一緒にネクタイ巻きをした。
右手にはオソロイのブレスレットが揺れている。
体育祭は始まって直ぐに大盛り上がりだ。クラスから浮いている私達だったけど、体育祭だからかそれなりに溶け込めていた。
ほんの数ヶ月前まで、こうしてオソロイの物を身につけて、楽しんでいるとは思いもしなかった。
私がこうして、楽しめているのはあの時の陽介の言葉があったからだと思う。
“椿!これからも楽しい事一杯しような!”
あの時の約束通り、陽介はお花見に連れて行ってくれた。
夏になったら、夏祭りに行く為に浴衣も買った。
陽介は私にたくさんの、初めてをくれる。
経験だけじゃなくて“愛おしさ”そんな気持ちも教えてくれた。
「椿ーーー?」美月が私の顔の前で手をヒラヒラと振っている。
「あっごめんごめん。ぼーっとしちゃった」と謝った。
美月はケラケラと声をあげて笑う。
「椿ってほんま1人でちゃう世界いってる事多いよなー!何かあったら言うんやで?私ら親友やねんから!」と肩を組んできてくれた。
そんな美月の優しさが嬉しくて、私も微笑み、美月の肩を組んだ。
「おい!にしにしコンビ!次、出番だぞ!」クラスメイトの一人に声をかけられた。
「にしにしコンビとか、だっさいネーミングで呼ばんといてー!」と美月が大声を出し、また笑ってしまった。
いつまでも、こんな風に美月と笑い合えると思っていたよ-------。