太陽と月


『次の競技は1年生による二人三脚です。二人三脚に出場する生徒は入場門にお集まり下さい』アナウンスが流れた。


「私らの番やな!行くで!」美月は私の手を取り立ち上がる。


「美月と走りたかったなー」と私が口を尖らせる。私の二人三脚のバディーはクジ引きで決められたので、石田さんだった。


「えームリムリ!椿どんくさそうやもん!一緒に共倒れするんごめんやわー」とストレートに言われた。


「えーそんな事ないよ!」と二人で言い合いをしながら、入場門に向かう。










「石田さん!宜しくね」私は隣にきた石田さんに微笑んだ。


石田さんはそんな私をチラっと見るだけで何も言わなかった。


何だか気まずいと思いながらも、石田さんの右足と左足を紐でしっかりと結んだ。


『では、位置についてヨーイ』



パーーーーーン!


ピストルの音がお腹に響き、お互いの歩幅を合わせて、走り出した。


走り出しは順調で、何組か抜き気付けば先頭を切っていた。


このまま1位になれる、そう思ったその時、隣で「アッ!」と声がした時に視界は回転していた。


石田さんが先にバランスを崩し勢いよく地面に叩きつけられた。


『おっとー!ここで独走していたA組の二人が転倒です!起き上がれるか!?その間にどんどん抜かれていきます!』


解説者の声が耳に入り、無性に腹が立った。


< 157 / 230 >

この作品をシェア

pagetop