太陽と月
「じゃあ昼からも頑張って」
そう言って颯介が私から離れようとした時、颯介の肩をガッと掴む陽介がいた。
「…何?」そう冷たい眼差しを送る颯介に陽介はいつもより少し上ずった声で答える。
「何じゃないよ!何してんの?椿まで巻き込んで自分が何してるか分かってんの!?」
私は驚いた。陽介はどんな時でも颯介に、こんな風に突っかかった事は無かった。
颯介は少しだけ、口角をあげながら
「それは生徒会長として言ってんの?」
「は?何だよそれ!」苛立ちを隠しきれない陽介とは違い颯介は涼しそうな顔で挑発をするかのように笑う。
「それとも、1人の男として言ってんの?」
「そっ颯介!」私は颯介の袖を引っ張ったけど、何も反応は示してくれなかった。
周りの生徒がチラチラとこちらを見ていた。
そんな周囲の雰囲気に2人は全く動じる様子はない。
「どう言う事だよ?俺はただ、あんな風に木下さんを傷つける必要性無かったって言ってんだよ!」
「嘘だね。陽介が気になってるのは、紙の中身でしょ?」相変わらず陽介を挑発する颯介を必死に止めようとするも、どうしたらいいか分からなかった。
「はぁ?お前何言ってんの?俺は、何であんな事言ったのかって聞いてんだよ?」
そう言って、颯介の胸倉を掴んだ。