太陽と月

その後の競技はスムーズに行われな。

それはきっと、生徒会長の陽介が盛り上げてくれたから。


さっきの寂しそうな目の陽介はもう居なかった。


いつもの明るくて、太陽みたいな陽介だった。


『それでは、午前の部はこの時間を持ちまして終了です!午後からの、競技も皆さんで力合わせて頑張りましょう』


朝の部を終えるアナウンスが流れる。


「椿!ご飯にしよー!」美月が私の元に笑顔で誘いに来る。


「うん!」私達は教室に戻った。


各自テーブルをくっ付け合ってお昼の時間が始まる。


「椿、今日はお弁当なんや!」

そう言って私が机の上で広げたお弁当を指さした。


陽介に渡す分とは別に自分のお弁当は教室に置いていた。


「うん」少しの後ろめたさがあったけど小さく頂きますと言って食べ始めた。


「ってか椿のお弁当めっちゃ美味しそうやねんけど!卵焼き頂戴!」そう言って私のお弁当箱から卵焼きを摘まんで取っていった。


一つ口に放り込むと、更にもう一つ卵焼きを口に放り込む美月。


「めっちゃ美味しい!唐揚げももーらーいー!」と次は唐揚げを口に運ぶ。


「ちょっとー!」口いっぱいに頬張る美月とのやり取りが、とても嬉しく思った。


2人で他愛のない話をしながら、ケラケラと笑っていると


背後から手が伸びてきて、卵焼きが一つ消えた。


えっ?誰?何?


そう思い、振り向くとそこに居たのは


悪戯っ子の様に微笑んでいる陽介だった。
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