太陽と月

『それでは、今日の一大イベント!3年によるクラス対抗リレーが間もなく始まります!出場選手権は入場門にお集まり下さい』


アナウンスが流れると、ワーーーと歓声が起きる。


「椿!前の方行くで!」そう言って美月は私の手を引っ張り、リレー全体が見える位置に連れて行ってくれた。


運動場には陽介と颯介を含む3年が数十名、それぞれの位置に立っていた。


陽介と颯介はアンカーらしく胸からタスキをかけていた。


それぞれ、屈伸運動等をする中、颯介は相変わらずポケットに手を入れて、気怠そうに空を見上げていた。


「なぁ!椿はどっちを応援するん?」美月に聞かれる。



そんな事考えてなかった。2人とも勝って欲しい。でもそれだと勝負にならないもんね。


そんな事を考えていると、いよいよスタートの時間なのか歓声に包まれる。


『それでは!間もなくスタートですが、アンカー選手に心意気を聞いていきましょう!』異様にテンションの高いアナウンス部の生徒が声を張る。


『では、A組アンカーである西園 陽介さん!意気込みは?』マイクを早速向けられている陽介が目に入る。


『えーー生徒会長として!負ける訳にはいきません!いや…1人の男として負ける訳にはいきません!ぜってーーー勝つ!颯介!』と颯介に向かって指をさした。


ワーーーーと歓声が広がる。


指をさされた、颯介はチラッと陽介を見ただけで涼しい顔付きをしていた。
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