太陽と月
私はアナウンスを聞きながら必死に願った。その願いはクラス対抗リレーの話を聞いた時から決まっていた。

“どうか、颯介が1位になって颯介が、認めて欲しい人に認められますように”

いつか、雨宮さんが言っていた。颯介には1人だけ認めて欲しい人が居ていると。

その認めて欲しい人が誰かは分からないけど、颯介がそう願うなら、叶って欲しいと強く思った。

『ここで逆転です!1位A組の西園 陽介!!2位はC組の同じく、西園 颯介‼果たしてA組に追いつくのか!?』

アナウンスの声で私は目を開けた。そこにはタッチの差で駆け抜けている、陽介と颯介が居た。

運動場が歓声に包まれる。隣に居た美月が私の左手をぎゅっと握ってくる。

「2人もすごない?どっちもめっちゃ速いやん」と美月が呟いた。

『残り5メートル!おっと!ここで西園 颯介がA組を抜いた!このままゴール出来るのか!?』

その時、周りの音が止まった様な気がした。

私は無意識のうちに

「・・・颯介―!!頑張れ――‼」


そう叫んでいた。
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