太陽と月

私は1人で家路に着いた。


今日は河口先生の日だ。


部屋に入り、準備をする。


ふと鏡を見ると、自分の首元に揺れているマリア様のネックレスが目に入った。


ここに来てからもズット付けている。


私はネックレスをギュッと掴み


“どうか颯介の歩く道が少しでも光あるものであります様に”


そう祈った。











「椿さん?今日は少しお疲れですか?」河口さんにストレッチを手伝ってもらっている最中に声をかけられる。


「あっ…ほら、今日は体育祭あったから」そう誤魔化す様に言った。


「ですよね。今日は少しゆっくりじしょうか?」と微笑んでくれる。


私は頷き、河口さんと並んで座った。


「ところで、最後のリレーはどちらが勝ったのですか?」河口さんに聞かれて


「…颯介が勝ったよ」


「そうでしたか。」と微笑む河口さん。


私は河口さんに全部を話したかった。


天宮さんと違い、河口さんは何故だか信用出来ると思っていたから。


「…あのね」そう言おうとした時


「颯介さんは…何に怯えてるんでしょうね」と悲しそうな顔をした河口さんの言葉に言葉が詰まった。


「…え?」


「颯介さんが何事にもトップを狙う姿はいつも何かに怯えている様に感じるんです」そう続けた。


「…怯えて…」そう聞こうとした時に道場の扉が勢いよく開けられたと同時に


「河口さんー!」と陽介が入って来た。
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